半導体大手のNVIDIA(NASDAQ: NVDA)は、2026年度第1四半期(2025年2月~4月)決算を発表し、売上高が前年同期比69%増の441億ドルと、同社にとって過去最高を記録しました。生成AI需要の拡大を背景に、データセンター部門を中心とした成長が顕著に表れた内容となっています。
決算ハイライト(2026年度Q1、カッコ内は前年同期比)
- 売上高:441億ドル(+69%)※過去最高
- データセンター売上:391億ドル(+73%)
- ゲーミング売上:38億ドル(+42%)
- GAAP純利益:148億8100万ドル(+628%)
- 1株当たり利益(EPS):5.98ドル(+629%)
- 調整後EPS(Non-GAAP):6.12ドル(+461%)
- 営業利益率(GAAP):57%
- フリーキャッシュフロー:158億ドル(前四半期比 +36%)
- 株主還元:自社株買い+配当で79億ドル実施
- 次期売上見通し:450億ドル(±2%)
データセンター部門が売上全体の約9割を占める
中核事業であるデータセンター部門の売上は391億ドルに達し、前年同期比73%増を記録しました。NVIDIAのAI用GPUはクラウドプロバイダや大手テック企業に広く採用されており、生成AI・大規模言語モデル(LLM)トレーニング需要の急増が寄与しています。CEOのジェンスン・フアン氏は、「AIインフラはもはや電力やインターネットと同様に必須の社会基盤となった」と語りました。
ゲーミング事業も回復基調に
ゲーミング部門も好調で、売上高は38億ドルと過去最高を更新。前四半期比で48%増、前年同期比では42%増となりました。特に新たに投入されたGeForce RTX 5070・5060の好調や、Nintendo Switchの後継機とされる製品への採用が追い風となりました。
中国向けH20チップ輸出規制の影響
米国政府による対中輸出規制も決算に影響を与えました。2025年4月にNVIDIAの「H20」AIチップに対し輸出許可が必要となったことで、同社は45億ドル相当の在庫関連費用を第1四半期に計上。さらに、25億ドル相当の出荷が制限されたと発表しています。
これらの影響を除いたNon-GAAPベースの希薄化後EPSは0.96ドルとなり、市場予想を上回る好決算となりました。
第2四半期見通しと懸念材料
NVIDIAは第2四半期の売上見通しとして、450億ドル(±2%)を予想。H20チップの輸出制限によって約80億ドルの影響がある見込みですが、それを補ってなお増収が見込まれている点は市場に好感されています。
一方で、米中間の貿易規制や供給網のボトルネックといった地政学的リスクには注意が必要です。
AIスーパーコンピュータと量子研究施設への投資
同社は、米国内でのAIスーパーコンピュータ製造や、サウジアラビア・UAE・台湾とのAI工場構築に向けた協業を進めています。また、日本国内にも量子研究用スーパーコンピュータを備えた研究施設の開設を計画中としています。
投資家の反応と株価の動向
決算発表を受け、NVIDIA株は時間外取引で一時4%以上上昇。AIインフラ投資が引き続き活発であること、競合との差別化が進んでいることが評価されています。
まとめ
NVIDIAは2026年度第1四半期において、AI需要を追い風に過去最高の売上を達成しました。データセンターを中核に据えつつ、輸出規制の影響を最小限に抑えた運営が際立つ決算です。今後の成長を左右するのは、世界各国との連携によるインフラ拡充と、地政学的リスクへの対応となるでしょう。
Source:NVIDIA Announces Financial Results for First Quarter Fiscal 2026